国民から預かっている130兆円の年金資金を運用する世界最大の機関投資家「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が大損失を出した。
今年7月の参院選後に公表された2015年度の運用損失は実に約5兆3000億円。それに加えて今年4~6月の3か月間だけで5兆2342億円の穴を空けたことも明らかになり、この15か月での損失合計は10兆5000億円を超えた。
「短期の話をしても意味がない。政権発足時(2012年12月)からのトータルで見ると、運用益は27兆7000億円のプラスになっている」
安倍首相はそう言い訳したが、問題の本質をすり替えている。「短期の話」こそ重要だからだ。
GPIFはアベノミクスによる株価急騰が一段落した後の2014年10月に運用方針を転換し、従来の国債中心の「安全運用」からハイリスク・ハイリターンの「株式運用」に資金をシフトさせた。ところが、それ以降の収支は大赤字。文字通り「高値」の株を掴まされた形だ。