運用失敗は年金財政を直撃した。2015年度の厚生年金会計は保険料引き上げと加入者の増加で収入が3兆8500億円増えたが、5兆円以上の運用損失で5年ぶりの赤字に転落し、国民年金会計もリーマンショック以来7年ぶりの赤字となった。
今回の年金法改悪による受給額引き下げによって、国が年金生活者から召し上げる年金額は、今後10年間で10兆円と試算されている。運用の損失を年金減額で穴埋めしようと考えたと見られても文句は言えまい。
年金生活者から見れば、GPIFのギャンブル失敗のツケを、生活の柱である年金で強制的に補填させられる構図だ。
※週刊ポスト2016年11月4日号