企業概要
ワコム(6727)は、ペンタブレットの世界トップメーカーです。液晶ペンタブレット、ペンタブレット、クリエイティブタブレットやスタイラスペン、またソフトウェアやサービスを自社ブランドおよびOEM供給で事業展開しています。
ペンタブレットとは、デジタルペン(筆)とタブレット(画版)で構成されるPC入力機器のこと。スタイラスペンをタブレット上で動かして使用します。本物のペンで描いているような感覚でデジタル描画ができ、イラスト作成や漫画、メモ書きなどさまざまな用途で使われています。
同社はこのペンタブレットの先駆者であり、クリエーター向けペンタブ市場においては世界80%という圧倒的トップシェアを獲得しています。
注目ポイント
業績は好調です。2022年3月期は、コロナ禍でデジタル需要が急拡大した2021/3期の反動減もありながら最高売上・最高益を達成しました。2021/3期は、23%の売上成長、最終益は2.6倍の成長を記録しており、それを踏まえての最高業績更新は高く評価すべきところです。2022/3期は営業キャッシュフローは2億3600万のマイナスとなりましたが、これは、賞与引当金の減少や為替差益の拡大などが主な要因です。棚卸資産や売上債権といった事業に直接関係のある項目には大きな変化はなく、懸念するところではないと見られます。ROEは15%から31%に上昇し、日本で求められる8%を大きく上回る水準を確保っています。
さらに2023/3期も最高業績更新の見通しです。中長期的な見通しも明るいです。市場機会は大きく、ペンタブの市場機会は、これまで成長をけん引してきたデジタルコンテンツ制作/創作市場に加え、教育DX市場、ワークフローDX市場と新たな分野での成長が見込まれます。それぞれのCAGR(年間複合成長率)は、デジタルコンテンツ制作/創作市場は、2021年~2027年まで9.5%、教育DX市場は2021~2030年まで16.8%、ワークフローDX市場は2021年~2022年で16.5%と、いずれも大幅な成長が予想されています。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。