各行が競うように利率を下げ、1%を切るような低金利で投資用不動産ローンを準備している。国税庁(2014年)によれば、日本には323万人もの大家がいて、その数はなおも増加している。多くの人が不動産投資に舵を切っているのは、メリットが多いからだと前出の榊氏がいう。
「簡単に言えば、収益率が良い。1年間で投資額に対していくら利益が出るかを表わす『利回り』が約3~4%、都内であれば6%はあると言われる。銀行預金や投資信託などよりはるかに高く、“買えば儲かる”状況です。しかも価格が大きく変動する株と違い、都心の家賃はこの20年間でほぼ横ばい。収益の安定も大きなメリットです」
『不動産投資1年目の教科書』の著書がある玉川陽介氏は、不動産投資には「二重のうまみ」があると指摘する。
「毎月の家賃収入に加え、不動産の価格が上がれば、将来的に売却した時に利益が出る。不況になって価格が下落しても、その不動産を持ち続けていれば、やがて景気が底を打って価格が上昇に転じるし、その間も家賃収入がある。長期的な投資に向いており、減りゆく年金などの老後不安から始める人も少なくない」
ローンを組めば負債を抱えることになるので、自分が死亡した時に相続税を節税することもできる。相続税対策として始めるケースも少なくない。