新型コロナウイルスの感染拡大による消費の冷え込みは、コロナ後のリベンジ消費へと向かうと言われてきた。いったい、その大波はどこへ向かうのか。今回「週刊ポスト」編集部が2022年の顔として選んだのは計24アイテム。今年ヒットした話題の商品や、ヒットの可能性が高い商品だ。商品ジャーナリストの北村森氏はこう語る。
「コロナ禍がピークを過ぎ、今年は我慢していた消費への欲が弾けて『リベンジ消費』が進みます。でも、どこで金を使うかは消費者次第。ヒットを狙う企業は、同業者だけでなく他の業界もライバルだと気づくのが成功への近道です」
商品が爆発的な売れ行きを見せるのには理由がある。だが、逆にその理由をなぞってヒット商品を生み出そうとしても上手くはいかない。北村氏は、ヒットの背景をこう読み解く。
「近年は、『SDGs』を掲げた商品が増えました。ひとことで言えば『人や環境に皺寄せがいかない』というこのテーマは、ヒットのきっかけのひとつになり得ます。しかし、理念の美しさばかりでなく、コストパフォーマンスの良さや必然性がなければ売れません。とくに日本のものづくりを支えてきたシニア層に至っては、良し悪しが分かる人ばかりだから余計にヒットは難しい」
戦争による不安定な世界情勢、急激な円安、高齢者の医療費負担増、と不安材料は尽きず、買い物での失敗は誰もが敬遠したい今日。ヒット商品にはさらなる訴求力が求められている。
コロナ禍のなか、順調に成長した業界もある。医療関係は言わずもがな、巣ごもり需要にフィットした飲食店のテイクアウトや宅配サービス、そして人との距離を置いたまま楽しめるアウトドア・レジャーも、大量の参入者を迎え入れた。これからの「ウィズコロナ」時代にも、それらの勢いはまだまだ続くだろう。
いっぽう、ヤクルトの新製品「Yakult1000」をはじめ、自社の宝であるロングセラー品をあらためて見直した上で新製品を出し、ブレイクを果たした企業が一定数存在する。
「最後は結局、説得力のある商品、買い手が共感し納得できる商品が勝つのです」(北村氏)
今回紹介したアイテムを総ざらいすると、奇抜なアイデアだけで勝負をかけようとしない、企業側の腰を据えた姿勢が垣間見えた。
以下、編集部が2022年上半期のヒット商品&下半期トレンド予測として選んだ計24アイテムを紹介しよう。