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安倍晋三氏の「もう一つの相続問題」 4億円にのぼる政治資金の行方は

安倍家の相続から見えてくる「安倍晋三・元首相の後継者」

安倍家の相続から見えてくる「安倍晋三・元首相の後継者」

“選挙を考えて遺産を分ける”という政治家一家らしい資産配分が行なわれてきたことがうかがえる。そうであれば、安倍氏の下関の邸宅や油谷の広大な土地などの遺産の分配も、政治の名門・安倍家の存続を考えて行なわれる可能性がある。

 地元の安倍後援会関係者もこう言う。

「昭恵さんは実家が資産家。遺産相続にこだわる人ではないと思います。やはり、下関の家は安倍家の象徴でもありますので、後継として出馬する人の所有となることが望ましいと思います」

 政治ジャーナリストの藤本順一氏はこう言う。

「洋子さんは以前、寛人氏を後継にと考えていたそうですが、本人が固辞していた。そこで今回の補選の候補には、洋子さんは信千世氏を望んでいると言われています。が、次の総選挙では山口県の選挙区が1区減って候補者が3人になることを考えると、山口県連は安定している現職の高村正大氏、岸信夫氏、林芳正氏の3人を候補者として立てたい。さらに信夫氏の体調不良問題もあり、信千世氏は山口2区を継ぐという話も出ている。

 そこで補選の候補として名前が挙がってくるのが昭恵さんでしょう。昭恵さんであれば政治家になるという意欲も少なく、比例代表に回しやすいからです。ただ、実家の松崎家は昭恵さんの出馬に反対しているそうです」

 昭恵夫人も「立候補の考えはない」と伝えているというが、安倍家の歴史をよく知る政治ジャーナリストの野上忠興氏はこう話す。

「3分の2の法定相続分がある昭恵さんが後継出馬すれば政治資金を含めて相続もスムーズです。しかし、ワンポイントリリーフに過ぎません。昭恵さんが下関や油谷の不動産を相続すれば、いずれ松崎家に渡ることになる。安倍家が将来も政治基盤を守ろうとするなら、安倍氏の甥や姪を洋子夫人か昭恵さんの養子にして財産と地盤を継がせるという選択を考えることになるかもしれない」

 ただでさえ悲しみに暮れる中、家族だけでなく、地元や中央政界の事情まで考慮しなければならないのが、名門ならではである。

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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