日中の酷暑や寝苦しい熱帯夜が続き、今年の夏はいつもより疲れがち。この猛暑を元気に乗り切るには、「休養」の意識改革が不可欠だ。「休養」のエキスパートが、疲労のメカニズムをレクチャーする。【全4回の第1回】
文部科学省疲労研究班が2004年に行った調査では、約6割の人が疲労を抱えていると報告されたが、いまでは約8割もの人が疲れを感じながら日常生活を送っており、20~40代の女性に限ってみると、なんと約9割が疲れを感じているという。
「家事や育児、仕事、介護などで忙しい女性は、疲労が恒常的になっているにもかかわらずがんばってしまっている状態です」と言うのは、「日本リカバリー協会」代表理事で、「休養学」の第一人者である片野秀樹さん。
脳神経外科医の奥村歩さんも次のように語る。
「脳は人間関係でいちばん疲れるように設計されています。女性はご近所さんやママ友、パート先の職場のつきあいなど、男性よりも人間関係が複雑なので、疲れる要素が多いのです」
疲れたときは睡眠が最善といわれるが、寝ても疲れが取れないという声も多い。
「いまはスマホやパソコンを使う時間も多いため、多くのかたは、睡眠だけでは疲れを取り切れない状態にあります。しっかり疲れが取れないまま、翌日も忙しく働く人が多いため、疲れていることに慣れてしまっているという状況もありますが、戦後の復興期以来の『休まない美徳』のような考え方が根強く残っている点も大きいと思います。
“疲れたから休む”というのは当たり前のことなのに、何となく怠けているようなイメージを持つ人も多く、それこそが日本の問題。疲れたらきちんと休むべきなんです」(片野さん・以下同)