実は1978年、当時の厚生省が、すでに「運動・栄養・休養」が健康のための要素と定めている。休養の重要性が無視されてきたわけではないというが、なぜ──。
「運動や栄養については研究が進み、一般のかたがたに入ってくる情報も多いのですが、なぜか休養に関しての体系化された情報はほとんどありませんでした。そのため、いまだに休養することが重視されずにいるのです。休養とは、体を“休ませ”て“養う”こと。家事でも仕事でも、自身のパフォーマンスがしっかりと発揮でき、楽しい生活を送るためにも “休養”を見直してほしいと思います」
片野さんによると「疲労は病気につながる重要なサイン」というから、「まだ大丈夫」と思っても決して軽くみてはいけない。
片野さんはじめ、日本リカバリー協会が休養の大切さを訴えるのは、疲労が、体から発せられる警告だからだ。
「発熱・痛み・疲労は、体の異常を知らせる“三大生体アラーム”といわれています。発熱や痛みは自覚症状があるので『おかしいぞ』と警戒し、休むなり薬をのむなりして対処しますが、疲労に関しては、先の2つよりアラームを見落としがちです。しかし、放っておくと、重大な疾病を招く可能性もあるのです」
「日本未病学会」では、「自覚症状はないが、健康診断で異常が出る人」や「自覚症状があるのに検査では異常が出ない人」を、未病と定義している。
「疲労を抱える人の多くは、この未病期にあると思います。たとえば、職場で『熱があるから休む』という場合には寛容ですが、もし『疲れているから休みたい』なんて言ったとしたら、『何を言ってるんだ!』と怒られかねませんよね。残念ながらこれが現状ですが、疲労をおして働き続けるより、いったん休んだ方が、結果的に翌日のパフォーマンスが上がるんです。このことを誰もが理解する世の中になるといいなと思います」