「向き不向きが早めに分かって良かった」
千葉県に住むMさん(40代/男性)は、息子が屈辱を味わった。親の影響で子供の頃から野球好きだった長男は、小学3年生で地元の野球チームに入ったが、初めての試合は大きな試練となった。
「息子は背が低くて身体も華奢ですが、運動神経は抜群。最初はショートでしたが、しばらくして投手を任されるようになりました。しかしデビュー戦は緊張してストライクが全く入らず、四球を連発。ランナーが出ると盗塁でメチャクチャに引っかき回され、30対0になったとところで監督が相手チームと相談して、試合は打ち切りになりました。最後の方はマウンドで泣きながら投げていて、その後いくら説得しても二度と練習には行きませんでした。
ただ、幸いなことに学校の成績は優秀で、その後は勉強にシフトチェンジし、第一希望の私立中学に合格。今は“科学者になりたい”と言って、マジメに勉強しています。息子はあまり背が伸びず、体もガリガリで、あのまま野球を続けても芽は出なかったはず。本人も『向き不向きが早めに分かって良かった』と言っており、結果オーライだったかもしれません」(Mさん)
「井の中の蛙」を痛感。性格も謙虚に変貌
西日本出身のAさん(40代/男性)は、サッカーの試合で“井の中の蛙”という言葉を覚えた。
「小さい頃からサッカーをやっていて、小学校ではダントツのトップ。上級生にも自分より巧い人はおらず、自分のことを本気で天才だと信じていました。しかし6年生の時に出た大会で、相手チームにH君というとんでもなく巧い子がおり、その子1人に10点以上取られて負けました。全てにおいてレベルが段違いで、自分が調子に乗っていたことが猛烈に恥ずかしくなり、性格がガラッと変わりました。自分で言うのも変ですが、それまでは嫌な奴だったのが、謙虚な人間になれたと思います。
H君はその後Jリーガーになったので、本当に天才でしたが、そんな彼でも日本代表にはなれなかったので、世の中、上には上がいるということ。狭い場所でお山の大将でいるのは気持ち良いですが、自分の力を過信してはいけないということを教えてくれたH君には感謝しています」(Aさん)