一画面の動画に集中するのがつらくなってきた
教育系企業勤務の30代男性・Bさんは、かつて「深夜アニメ」を追いかけていたが、最近、アニメを取り巻く環境の変化を感じるようになった。動画系のサブスクが普及したことで放送時間もあまり関係なくなり、かつアニメの“競合”が多すぎるというのだ。
「かつては3か月1クールのアニメ放送に対し、『今期の覇権アニメは○○』『今期は豊作』みたいな議論が盛んでしたけど、最近では死語に近い気がします。サブスクの普及で、時期も時間も関係ないですからね。『深夜アニメ』も、死語になってくるのではないでしょうか。
ただ、手軽に見られるようになった分、“処理”する感覚になっています。たとえ20分のアニメを見る時でも、そこに集中するのではなく、ほかに何かをしながら見ることが増えました。例えばお風呂に入りながらとか、仕事や料理をしながら横でつけておくとか……。それならラジオと同じですが、視界の端っこに、映像が入っていればいいかな、という感じです。
倍速で見ていたこともありますが、もうそれすらしなくなりました。倍速で見るとなると、より動画に集中しなくてはならない。一画面に釘付けになっていられません。今はアニメの視聴時間を減らしたことで空いた時間を、スマホで漫画を読む時間にシフトチェンジ中。アニメはもちろん好きですが、やはり自分のペースで読める漫画はいいなと思っているところです」(Bさん)
第1話から見ないといけないという“縛り”
メーカーに勤務する20代男性・Cさんは、第1話の視聴が欠かせないアニメ視聴はハードルが高くなったという。
「どちらかというと、つい最近まで放送中のアニメは結構見ているほうでした。でも、1話の20分で面白さを感じられないと、2話目、3話目の20分が辛くて、結局、離脱してしまうものが割と多いんですよね。『これは絶対に面白い!』と思えないと、その20分ですら無駄だと思っちゃうというか。他に見たいものもたくさんあるし、みたいな。
僕はとりあえず1話だけは見る主義だったのですが、そういった経験を何度かしていくと、もう1話を見ること自体をやめてしまい、『全部放送が終わって、面白そうなら、サブスクでまとめて見ようかな』と後回しにするようになりました。でもそうすると、今度はSNSでトレンドに入って、友人から『こないだの○○が面白かった』と言われても、その段階ではついていけない。結局、1話から順番に見ないといけないのが面倒になってしまって……。
名作と言われていて、いつか見たいアニメもたくさんあるのですが、ストーリーを追うとなると、やっぱりまとめて見ないと、最初のほうの話とか、絶対に忘れてしまう。なので、これも後回しです。だから、何話から見てもいいアニメは好きですね。ギャグ寄りのものに多いですが、結局時間が空いた時は、そういうアニメを見ています。あと、1話20分も微妙にダルい。今って、アニメは1話のうち前半と後半でそれぞれ10分ずつ、みたいな感じになってますけど、まとめて1話15分ぐらいが希望です」(Cさん)
多数のコンテンツがさまざまな楽しみ方ができるようになる中で、アニメ視聴のスタイルも変化しつつあるようだ。