米国のナンシー・ペロシ下院議長が率いる5名の民主党議員団は2日午後10時30分、台北の松山空港に到着、同市内のグランドハイアットホテルに宿泊し、3日午前8時に民進党の蔡英文総統と面談、午前10時には台湾を離れる。──2日、複数の台湾メディアはこのように伝えている。
もしペロシ下院議長の訪台が実現した場合、中国サイドからの激しい反発が予想される。
7月28日に実施された米中首脳による電話会談では台湾問題について中国側から厳しい発言があった。
習近平国家主席は「中国の国家主権、すべての領土を断固として維持することは14億人余りの中国人民の堅い意思である。民意に背くわけにはいかない。火遊びは必ず自らを燃え上がらせることになる」と警告。「米国は言行一致で“一つの中国の原則”を厳格に守り、台湾は中国の一部であることを認めた“米中による3つの聯合公報”を履行すべきだ」と念を押している。
中国外交部による記者会見では連日、この問題に関して質疑応答が繰り返されている。趙立堅報道官は「もし米国が中国側のボトムラインに挑戦するならば、必ず断固とした反撃に遭うだろう」と厳しい口調で繰り返し答えている。
中国の環球網は2日、台湾の中国時報が8月2日に報じた記事を紹介しつつ、次のように報じている。
〈ホワイトハウスと軍部はペロシ下院議長に対して台湾訪問を止めるよう勧めた。民進党当局も暗に台湾訪問の招待を撤回しようとしたが、逆にペロシ下院議長から非難を受け、引き続き接待の準備を続けるしかない状態だ。これに対して、台湾のネット民は『2300万人の台湾人民の命を危険にさらすつもりか』とペロシ下院議長を非難する意見もみられる〉
中国海事局は8月1日、「2日0時~6日24時まで、南海の一部海域で軍事訓練を行うため、この地域への進入を禁止する」と発表した。また、「1日14時~4日24時まで、渤海北部の一部海域で実弾射撃を行うため、この地域への進入を禁止する」とも発表した。
中国本土には激烈な世論があるだけに、中国共産党としても口先だけの非難で済ますわけにはいかない。訪問が実現すれば、軍事行動のリスクさえ考える必要がありそうだ。そうなれば、言うまでもなく、グローバル金融市場は暴落のリスクを免れないだろう。