一部の子だけ親からの贈与を受けた
長男の孫が私立中学に進むから、次男がマイホームを購入するから……といった理由から親が資金援助(贈与)をしていると、一部の相続人(やその子)に渡った金額が偏るケースは少なくない。そうしたパターンも、トラブルに発展することがある。吉澤氏が語る。
「公平に贈与するというのはなかなか難しいのです。“孫にそれぞれ300万円ずつ贈与した”といった場合も、長男には子が3人いて、次男に1人しかいなければ、世帯ごとで比べれば大差があり、次男は不公平感を抱きます。
そうしたことが後から発覚するとよりこじれるので、親が元気なうちに自らの口で考えをきちんと子供たちへ伝えておくのが重要です。家族全員が納得しないようであれば、親が遺言書を書いておくのがよいでしょう」
遺言書があることで家族関係がこじれることもあるが、「もとから兄弟仲が悪い場合は、様々な手を講じてもトラブルを100%避けるのは難しい。遺言書があれば、最低限、相続手続きが進められないという最悪の事態は避けられる」(吉澤氏)のだという。
※週刊ポスト2022年8月19・26日号