7月13日に世界経済フォーラムで発表された「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は146か国中116位、先進国では最下位だった。だが、日本の男女格差がなかなか埋まらないなかでも、多額の報酬を受け取るキャリアウーマンや数百億円もの資産を持つ女性たちがいる。そうした令和の「女性大富豪」たちの実像に迫った──。【前後編の前編】
4月の「東証再編」で、上場企業には世界基準のガバナンス遵守が求められるようになった。そのなかで多くの日本企業が直面する課題が「女性役員」の少なさだ。
「欧米企業では女性役員の比率が3~4割であるのに比べ、日本企業は10%未満と少ない。東京証券取引所は昨年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードで、『女性らの管理職への登用』を上場会社に求めています。特に最上位のプライム市場の企業には高い水準が設けられている。プライム維持には、積極的な女性役員の登用が求められます」(経済ジャーナリストの森岡英樹氏)
では令和の日本企業で、高い評価を受け、高額報酬を受け取る女性はどのくらい存在するのか。
東京商工リサーチの協力のもと調査した。2021年度(2021年4月期~2022年3月期)の有価証券報告書によれば「役員報酬1億円以上」は915人。そのうち女性はわずか16人だった。
そんなキャリアウーマンたちは、いずれ劣らぬ個性の持ち主である。
トップに輝いたのは、電通グループ取締役のウェンディ・クラーク氏(51)。その報酬総額は16億7600万円と、2位以下を大きく引き離している。『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。
「AT&Tやコカ・コーラなどの役員を歴任したクラーク氏は、米国の広告界で長年活躍した人物。2016年の大統領選挙ではヒラリー・クリントン陣営のアドバイザーも務めました。2020年からは電通グループの海外事業を統括する子会社・電通インターナショナルのCEOを務めています。海外市場に活路を見出したい電通グループの成長戦略を担う重要人物であることが、ほかとは桁違いの報酬額から窺えます」