ビジネス

日本企業で「役員報酬1億円超えの女性」16人、その「素顔」と「履歴書」【後編】

[/caption]

役員報酬1億円超えの女性16人の「肩書き」と「年収」【1】

役員報酬1億円超えの女性16人の「肩書き」と「年収」【1】

あのゴーン氏からスカウト

 11位は女性初の総合職として1986年に新卒入社し、叩き上げで出世した大和証券グループ副社長の田代桂子氏(59、1億3200万円)。

 幼少期から米国で暮らした帰国子女で、早稲田大学在学中は女子学生による就職情報誌の製作にも携わった。入社後も歯に衣着せぬ言動で頭角を現わし、同社で女性初の海外赴任も経験。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。

「田代さんは発展途上国の子供に予防接種を届ける『ワクチン債』などを提案し、企業としてSDGsを発信することに先鞭をつけた女性です。取締役になる前から、同社内の知人から『女性のなかでは突き抜けている』という評判を聞いていました」

 『経済界』編集局長の関慎夫氏も、「すごく感じのいい人で、同社女性社員の希望の星」と評する。

 12位の星野朝子氏(62、1億2700万円)は日産自動車副社長で唯一の女性執行役副社長。中学校の同級生だったという夫は星野リゾート代表の星野佳路氏だが、ビジネスウーマンとしてのキャリアは夫とは関係なく自ら切り拓いてきた。

「大学卒業後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入社し、退職して海外留学でMBAを取得して帰国。リサーチ会社でマーケティング・コンサルタントとして活躍中に、当時のカルロス・ゴーン社長に見出され、スカウトされました。ゴーン氏失脚後も副社長にまで出世しており、日産自動車にとって貴重な人材だったことを自ら証明した人です」(関氏)

 新型コロナ治療薬の開発で世間の注目を集める塩野義製薬取締役副会長の澤田拓子氏(67、1億2300万円)は14位。

「京都大学卒業後、1977年に入社した同社で一貫してがん・疼痛分野の医薬品開発に携わり、取締役になる前は初の女性執行役員として医薬品開発本部長などを歴任しました。同世代の女性で研究開発部門を率いるまでになったケースは珍しく、女性研究者にとっては模範とすべき人です」(同前)

 多彩な顔を持つ「億超えキャリアウーマン」たち。前出・森岡氏は「市場では、女性役員の比率が上がった企業は業績が伸びるというのが1つのメルクマールになっている」と言う。今後はさらにランクインする人数が増えることだろう。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2022年8月19・26日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。