遺言書は相続人全員にオープンに
長い間、一緒に暮らしてきた家族あてとはいえ、誰が見ても納得がいくようにつくらなければ、思わぬ争いを招く。また、後から思いもよらない財産が出てくるケースも。
「財産目録に見落としがあることは少なくありません。あらかじめ遺言書に“その余の財産は○○に残す”などと書いておくと、手続きがよりスムーズに進むでしょう。ただし、仏壇やお墓などの祭祀財産は遺産分割の対象にはならず、相続財産とは別の理念で継承されるもの。“その余の財産”に含まれるとは限らないので、できれば、祭祀財産を承継する『祭祀主宰者』が誰かも記載してほしい」(田渕さん)
そして、遺言書ができたら、なるべく相続人全員にオープンにしておくのが理想的だ。余計な相続税を払わないようにするのはもちろん、何より争いを避けるには、多少のお金がかかっても、やはり公正証書遺言の方が確実だ。
「認知症を発症してからでも、判断能力が失われるほどでなければ、遺言書をつくったり、つくり直すことはできます。しかし“誰かが自分にとって有利な遺言書をつくらせた”などと疑われる可能性もゼロではありません。作成時にビデオ撮影をしておく手もありますが、それでも決定的な資料にはなりません。いちばん大切なのは、事前に親族で話し合って、誰もが納得することです」(的場さん)
結局のところ、家族仲をよくしておくこと以上の相続対策はない。その上で、最愛の家族に何を残せるか、何を受け継ぎたいか考えれば、最善の方法はおのずとわかるはず。
※女性セブン2022年8月18・25日号