大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

金融資産運用益への課税廃止、寄付で相続税大幅減…大前研一氏が提言する税制改革

個人金融資産が市場に出てきて消費を拡大させる政策とは?(イラスト/井川泰年)

個人金融資産が市場に出てきて消費を拡大させる政策とは?(イラスト/井川泰年)

 経営コンサルタントの大前研一氏は前回記事〈税の不公平をどう解消する? 給与所得者にも「青色申告」を適用するための政策提言〉で、サラリーマンやパート、アルバイトなどの“サイレント・マジョリティ”の代弁者として、「連合(日本労働組合総連合会)」が打ち出すべき政策21項目のうち10項目を提言した。今回は、富裕層向けの施策も含めた残りの11項目について提言する。

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【11】妊娠・出産にまつわる全経費を医療費控除の対象にする

 現在も、妊娠と診断された女性が1年間に10万円以上(総所得が200万円未満の場合は総所得の5%の金額以上)の医療費を支払った時は、定期検診代や通院費が医療費控除の対象になる。しかし、妊娠検査薬代や予防接種代、里帰り出産時の交通費、入院用パジャマや洗面道具などの費用、赤ちゃんのおむつ代・ミルク代などは控除対象にならないので、それらもすべて対象にする。また、少子化対策として、所得と関係なく全該当者に適用する。

【12】子供を1人産んだら所得税を半減し、2人産んだら2人目が6歳になるまでは所得税ゼロ、3人目以降は逆に定額を支給する

 これは少子化対策に成功しているフランスの「N分N乗方式」を参考にした税制で、子だくさんな世帯ほど優遇されるわけだ。3人目以降は、たとえば子供1人あたり10万円を支給し、所得税も末子が6歳になるまではゼロ。6歳で区切るのは、小学校・中学校は国公立に行くと授業料がかからず、高校も世帯年収910万円未満は私立も含めて無償化されたからである。このくらい思い切った手を打たないと、少子化に歯止めをかけることはできない。

【13】通勤に利用する自家用車の減価償却費、リース代、ガソリン代、車検費用、保険料・税、駐車場代などを経費計上できるようにする

 農家や漁師、自営業者などは業務で使う軽トラックなどの車検費用や自動車関連税が経費計上できる。それと同じにするだけだ。

【14】老後に備えた保険料などを経費計上できるようにする

「人生100年時代」の老後は、公的年金だけでは足りない。老後30年間で約2000万円が不足するとされる「老後2000万円問題」に対応するためには、公的年金以外に若いうちから個人年金保険に加入しておかねばならないし、がん保険や医療保険も不可欠なので、それらの保険料を経費として収入から差し引く。

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