台湾と中国は、経済的に強く結びついている。台湾財政部によれば、2022年上半期の輸出額は2466億ドル。国別内訳では、中国が25%、香港が14%を占めている。一方、米国は15%、日本は7%、韓国は5%である。香港は貿易上の中継地である。ほとんどの製品はそこから全世界に再輸出されるが、その中には当然、米国向けも含まれるだろう。そのため、実際の米国向け輸出は前述の比率よりは高い。ただ、それを考慮しても、台湾にとって中国は、米国と1、2を争う重要な取引先であることに変わりはない。
輸入額は2190億ドル。この内中国が20%で、米国は10%に過ぎない。日本は13%、韓国は8%、香港は0.3%である。輸入面で台湾は中国に大きく依存している。
2020年の貿易依存度(貿易額/名目GDP)をみると、台湾は91%(UNCTADより)。韓国は58%、中国は30%、日本は25%、米国は18%である。台湾の面積は約3万6200平方キロメートルでオランダ、スイスとほぼ同じ。人口は2347万人(2021年、世界銀行より)でオーストラリア、北朝鮮とほぼ同じ。
その経済力を考慮すれば、比較優位の原則に従い自由貿易を心掛け、特定の産業を強化することで経済発展を図ることが得策だろう。
台湾は2010年6月、中国との間で海峡両岸経済協力協定を締結させた(発効は9月)が、台湾はこの協定を通して、中国から高成長の恩恵を最大限享受できるようになった。
中国との関係を頼りに、半導体、電子部品組み立てなどのエレクトロニクス産業をさらに強化し、育て上げ、現在の貿易立国「台湾」を築いている。
そもそも、台湾の人口は中国本土の1.7%、面積は0.4%しかなく、言葉も、文化も、遺伝的共通性も、本土南方に限りなく近い。もちろん、住民感情としては蒋介石時代から一貫して反共が大勢を占めるのだろうが、だからと言って“独立”へのハードルは高い。できる限りこの問題には触れないようにしたいというのが“実際の世論”だろう。