“中国の最大の弱点は台湾である。米国はそれを責めることで、中国に武力行使させ、中国を孤立させようとする。一方、中国は、これを逆手にとって、軍事演習と、経済制裁を組み合わせ、台湾の民意を動かし、台湾内部から政治を変えようとしている”。こうしたスペキュレーションも可能だ。
子供を持つ親世代や、子育てを終えて穏やかな老後を過ごそうとしている年配の世代は何よりも生活の安定を求めている。外部勢力による介入に反発する親中派経済人も少なくない。問題は“若い世代がどこまで冷静でいられるか”である。
現状ですら台湾経済は“中国漬け”の状態だ。中国は自国経済をさらに発展させるとともに、台湾との経済交流をさらに深め、実質的に台湾経済を吸収してしまい、それによって自然な形で台湾統一を図ろうとする。中国としては、これが最善の策だと考えているだろう。一方、武力行使などは最悪の選択であり、逆に米国にとって最善の選択となってしまう。
先ずは、台湾政治が今後どのように変化するのか、そこに注目したい。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。