近年、「100分授業」を導入する大学が増加している。通常、「半期90分15週+定期試験」に設定されている授業時間を、「100分14週+定期試験」に改編するという流れだ。15週を確保することで、春学期が夏季休暇の8月に入り込むこと、秋学期の授業が2月の入試シーズンにずれ込むことなどを解消できるという点が、導入のメリットとされている。
半期2単位分の講義を「90分×15週=1350分」を確保すればよいため、「100分×14週=1400分」で十分に確保でき、超過する50分は補講などの予備日としても良い。これによって、学事暦の弾力化が進められるというわけだ。2017年から導入している明治大学や芝浦工業大学などを皮切りに、その後は法政大学、神奈川大学、東海大学、上智大学、中央大学、立教大学、関西学院大学などでも運用されており、2023年からは早稲田大学でも導入が予定されている。
15週が14週間に短縮されるため、学生にとってもメリットが大きいように見えるし、かつ90分から10分増えるだけでは大きな変化はないように思われる。ところが、学生や教員たちの声からは、様々な意見や感想が聞こえてきた。
早稲田大学に通う大学生のAさんは、次のように不満の声を漏らす。
「正直、2023年度からの新時間割には不満しか感じません。これまで1限は9時スタートでしたが、それが10分早まり8時50分スタートになります。早稲田はキャンパスが広いので、いつもは50分に早稲田駅につき、ダッシュで教室に向かって間に合うというパターンが多いので、その10分を奪われるのは相当きつい。
また従来は5限が18時に終わり、その後にアルバイトに向かったり、飲みに行ったりしたわけですが、新時間割だと18時40分に終わることになります。そうすると、バイトのシフトも変わってしまいますし、それが就寝時間にズレ込んでいくので、これまでの生活リズムがかなり崩れます」
一方、すでに100分授業が導入されている中央大学に通うBさんは、こう語る。
「100分という授業時間については、そんなに苦ではありません。たとえば、ドキュメンタリー番組などの長い映像を観る講義では、むしろ100分あってちょうど良いと感じることもあります。次の授業への移動時間なども考慮して、90分で授業を切り上げてくれる先生もいます。また最後の10分間を自由に質問ができる時間に充当してくれる先生もいました。
授業回数が減るため、早く長期休暇に入れるのはありがたいです。デメリットといえば、帰宅時間が遅くなることですね。家から大学が結構距離があるのですが、冬などはとくに帰りが遅くなったなというのを実感します」