日本の評価「D」は、〈対処すべき重要な弱点および/または欠落のある制度〉とされる。この調査は2009年から始まっているが、日本は2009年の11か国中11位を皮切りに、2010年14か国中13位、2011年16か国中14位と調査対象国が増えても、最下位争いを演じ続けてきた。
日本の年金制度に与えられた低評価について、“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏はこう語る。
「年金額が十分でないのはご存じの通りですが、年金の給付総額は1989年度で22兆円だったのが、2014年度には54兆円まで膨れあがっている。団塊世代が高齢者になっただけでなく、平均寿命も延びているからです。この問題は見通せたはずなのに、政府は何ら有効な手段を採らず、ずっと年金の議論から逃げ続けてきた。各国と比べて、評価が低いのも当然です」
成長戦略として世界一の技術大国を目指すと息巻く政府だが、“年金後進国”からの脱却がなければとても成長など望めない。
※週刊ポスト2016年11月11日号