メーカーにより、服のサイズは異なる
現在、服のサイズはS・M・Lで表記されているものが多い。だが、メーカーやブランドにより、その数値に差があることをご存じだろうか?
「弊社ではサブスクリプション用に多くのブランド商品を扱っていますが、ブランドごとに表記がバラバラなのが現状です。そのため新しい商品が入荷したら、すべてのサイズを測り直し、弊社で定めた基準サイズに振り分け直してからお客様に提供しています」
『エアークローゼット』広報の鈴木遥さんはそう語っていたが、なぜ、表記が統一されていないのだろうか?
JIS衣料サイズ原案作成委員である、日本女子大学名誉教授の大塚美智子さんによると、
「国内で基準となる婦人服のサイズ表記は、JISによって決められていますが、これは法律で定められたものではありません。洋服はブランドによってターゲット層や体型、取り扱うサイズなどが異なります。また4LやXXSのような、JISの規格範囲を超えるサイズの商品もあります。そのため、独自のサイズ表記もOKなのです」
さらにブランドが表記のリニューアルを行う場合もある。
幅広い年代の客層を持つ無印良品では、今年、衣料品のサイズ表記の見直しが行われ、秋冬商品から変更するという。
「当社では、老若男女、また体形の異なる多くのかたに着ていただくことを意識して、JISの“ヌード寸法”をベースに調整を加えた独自のサイズ表記を採用しています。無印良品全体で『日常生活の基本を担う』ことを念頭にさらにサイズを見直し、婦人服では人口に対するサイズカバー率を約10%改善しました。これまでは、S~M、L~XLのような『範囲表記』や『男女兼用』などの表記が混在していてわかりにくかったため、基本商品はXSからXXLの6サイズに統一。これにより、これまで以上にサイズ選びがしやすくなったと思います」(良品計画広報・関根純子さん)
このように多くの企業が絶えず改善や改良を行っている。
“ヌード寸法”と“仕上がり寸法”の違いを知る
JIS表記のS・M・Lや9号、スリーサイズなどは、ヌード寸法と呼ばれる。これは着用者自身の実際の体を計測したものだ。これに対して、仕上がり寸法は、ヌード寸法にゆとりをプラスした洋服自体のサイズとなる。
「ヌード寸法は、いざ自分で測ろうとすると、正確に測るのは難しい。ですが、洋服を買う場合、その服を着てどう見えるかが重要なので、仕上がり寸法を測っておくことをおすすめします。
具体的には、お気に入りの服の中で、着心地がいい服やラクな服、細く見えると思う服などを選び、その服のサイズを測ってスマホのメモ機能などに入れておきましょう。床にきれいに広げれば、簡単かつ正確に自分に合う服の仕上がり寸法が測れます。ネットなどで洋服を買う場合、このサイズを基準にすれば、サイズが合わないなどの失敗が防げます」(里村さん)