さらに、都道府県別の検挙率を比較した。80%台で検挙率全国1位の山形県に対し、最下位の大阪府は唯一30%未満だ。
「他人に無関心な都市部より人間関係が濃密な地方の方が捜査しやすく、検挙率が高くなる傾向があります。前述の通り、『入りやすく見えにくい』場所で犯罪発生率が高まりますが、インターネットでの犯罪が多いのも同じ理屈によります。検挙率40位の徳島県で犯罪が増えたのが、本州と四国をつなぐ明石海峡大橋ができて以降というのも注目すべき点でしょう」
新幹線や高速道路、橋の接続など、交通インフラの整備によって犯罪者の出入りもしやすくなったというわけだ。
【プロフィール】
小宮信夫(こみや・のぶお):犯罪学者、立正大学文学部社会学科教授。日本人として初めて英ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。著書に『写真でわかる世界の防犯 遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館)ほか多数。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年9月8日号