「洗っとくよ」がいけない
在宅勤務によって男性の家事参加が促される──今年、「日本家政学会誌」にこんな研究結果が掲載されたが、家事分担の実態は理想と大きくかけ離れているようだ。主婦の山口美智子さん(56才、仮名)は、夫の背中を見ながら大きなため息をつく。
「テレワークが増えた夫に家事を手伝わせようとしているけれど、自分で飲んだコーヒーのカップひとつ満足に洗えない。家にいる夫の分まで食事を用意しなきゃいけないし、家にいる時間が増えればそれだけ部屋の掃除も大変になるのに、掃除機やゴミ袋がどこにあるかすら知らないから、何を頼んでも満足にやってもらえない。“手伝うよ”とは言ってくれるものの、あまりにもそのスキルが低すぎて……夫はあと数年で定年なのですが、その後の生活は想像するだけで恐ろしいです」
前出の宇崎の“ポンコツ”ぶりは買い出しだけにとどまらず、コロナ禍で料理を手伝い始め、阿木がみじん切りや千切りを指南するも、すぐに忘れてしまってうまくいかない。阿木はその様子を振り返り「あまりに学習能力が低い弟子だな、と思って。日々破門です」と語っている。
『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)では、「『風呂洗っとくよ』とか、やるようになった」とコロナ禍をきっかけに家事を手伝うようになったとアピールする石原良純(60才)がバイオリニストの高嶋ちさ子(54才)に「『洗っとくよ』がいけない。洗うなら黙って洗っとけ」とバッサリ斬られた。
社会やライフスタイルの変化によって夫の“家事参加”が促進されている時代だからこそ、どこまで何をやってもらうか、その方法をどう教えるかといった根深い問題が生じているのだ。