地震以上に実は経済損失が大きい、水害の怖さ
前述の日本地図で最も被害の大きかった5県(福岡県・広島県・長野県・福島県・宮城県)と北海道で、対象の3年間(平成29~令和元年)にどのような災害があったかを示し、グラフ化した。甚大な被害を受けた地域に莫大な経済損失が生じたことが一目でわかる。
「注目したいのが、北海道胆振東部地震(平成30年)より、福岡県や広島県で発生した7月豪雨(平成29・30年)や長野・福島・宮城を襲った台風19号(令和元年)の方が経済損失額で上回っていた点です。胆振東部地震は震度7という地震そのものの大きさもさることながら、その後に北海道全域の停電“ブラックアウト”が起きた大きな災害でした。しかし、経済損失額という点では、7月豪雨や台風19号による風水害という“水関連の災害”の方が損害額は断然大きいのです。
地震は広範囲で建物が揺れて倒壊したりする恐ろしい災害ですが、ある意味、一瞬で終わります。対して水害は広範囲で物が流されたり、家や車が水没し、橋や道路、鉄道などのインフラが破壊され、損失額という点では地震を上回るほど大きいといえるのです」
特に最近は雨の降り方が明らかに変わってきており、50年に1度、あるいは100年に1度といった大雨が頻繁に降るようになってきた。いまこそ、水害への認識と警戒を新たにする必要がある。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年9月15日号