異常気象には「緩和」と「適応」で対処する
別掲の円グラフは、2021年の世界中の自然災害による経済損失を、災害の種類別に分類したものだ。
「このグラフからわかるのは、水害の影響がいかに甚大であるかということ。上から時計回りに見ていくと、最初の31%が洪水、次の15%が暴風雨でこれもまた水害です。そして逆に干ばつなどで多発する森林火災があり、その次が地震です。そして欧州の冬の嵐があり、次の33%が熱帯低気圧、つまり台風です。この洪水31%・暴風雨15%・台風33%を足した79%が水関連の災害なのです」
今夏は日本で酷暑と大雨、世界では干ばつや森林火災が起きている。これは、地球上の水循環のバランスが崩れているからにほかならない。そんな自然災害が頻発する時代に私たちはどう対処すればいいのか?
「CO2(二酸化炭素)と気候変動の関係について懐疑的な学者もいますが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書では、『人間活動が温暖化の原因であることについて疑う余地がない』と結論づけています。
こうした状況に対応する方策は2つ。まずはCO2など温室効果ガスの排出量を減らすこと(温暖化の緩和)。もう1つは、防災対策をしたり、災害発生をいち早く察知して避難できるように準備すること(災害多発への適応)。個人としても日頃から緩和と適応の両輪を心がけておくのがよいでしょう」
私たちの防災意識もアップグレードする必要がある。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年9月15日号