投資

続々縮小・廃止の株主優待 存続を見極める材料のひとつは優待品が“非自社製か否か”

優待廃止で急落も?

 前出の岡山氏も、投資戦略の見直しについてこう言う。

「今後も株主優待を狙った投資を考えるなら、厳しい状況でも優待廃止のリスクが低い企業を選ぶべきです。そうでないと、優待廃止が発表された途端、株価が急落する事態もあり得るからです。

 そうしたリスクを防ぐ戦略としては、【1】株主構成で(公平な利益還元を求める)外資系ファンドの比率が低いかどうか、【2】コロナ禍の影響を受けにくい企業かどうか、【3】自社の主力商品やサービスが優待品になっているかどうかを調べたうえで投資をすることです。それが実践できれば、株主優待は引き続き個人投資家にとって魅力的な制度と言えるでしょう」

 米国企業には基本的に株主優待制度はないという。日本では、近代の幕開けとともに株主優待制度が誕生したとされる。明治以降、鉄道会社が株主優待の乗車券を発行し始め、それが普及したことにより株主1人あたりの持ち株数が急増した例もある。近代日本の発展に、企業を支える個人株主の存在は欠かせないものだった。

 翻って現代。企業も株主もグローバル化、多国籍化して久しい。100年以上前からの「株主優待」によって築かれた企業と株主の関係は、もはや変わらざるを得ないのかもしれない。株投資に際して、新しい常識を身につけることが必須となりそうだ。

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

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