そして今回、ロシアに対する経済制裁として「OFAC規制」も機能して、6月にはロシア国債が事実上のデフォルト(債務不履行)に追い込まれたのである。
このように「OFAC規制」は基軸通貨である米ドルの取引を楯に米国外の銀行であっても容赦しない、圧倒的な“破壊力”を持っており、いわば米国の経済制裁の「最終兵器」となっているのだ。
「金融は経済の血液」とよくいわれるように、経済を下支えする土台となる。その根幹となる日本の金融機関も、実は「OFAC規制」によって米国にがんじがらめにされている。もっといえば、「沖縄の基地問題」や「横田空域」のように、日本の金融機関もあまり知られていないところで米国に従属しているも同然なのである。
安全保障体制はもちろん、金融や航空といった日本経済を支える仕組みは、実は私たちにはあまり見えないところで米国の従属関係にあるのだ。
残念ながら、このまま手をこまねいているだけでは、何も変わらないだろう。「米国に反旗を翻せ」とまで声高に主張するつもりはないが、いまよりもほんの少しだけ日本がよくなるように、脈々と続いてきた日米の従属関係を見直す時ではないだろうか。それもしないようでは「一億総下流社会」はひたひたと迫ってくるに違いない。
※須田慎一郎『一億総下流社会』(MdN新書)をもとに再構成