財産の見落としがあった場合に備える
遺言書には「どんな財産がどれだけあるか」をリストにした「財産目録」を添えるのが一般的で、自筆証書遺言の場合も、財産目録はパソコンで作成したり、登記簿謄本や通帳のコピーの添付も許されている。その際は、すべてのページに署名押印する必要がある。
だが、いざ相続という段階になって、目録にない“忘れられていた財産”が出てくることは少なくない。
「想定外の財産が出てきた場合、その財産は改めて分割しなければなりません。あらかじめ遺言書に“その余の財産は○○に残す”などと書いておけば、財産の見落としがあった場合も安心です。
ただし、“その余の財産”には、洋服や家財道具といった雑多なもの、引き取り手のない不動産など、分割が面倒なもの、つまり実質的な負の財産も含まれます。家財道具といった動産類なら、それが保管されている建物を取得する人がまとめて相続するのが問題が少ないでしょう。いずれにせよ、誰が何を取得するのがベストなのか、よく考える必要があります」(田渕さん)
一方で、借財など、第三者の債権者がいる負の財産は、債権者との関係によっては、法定相続割合に従って負担することになる。その場合も、遺言書で相続人内部の負担割合を指定することは可能だ。
※女性セブン2022年9月22日号