近年は家族のあり方もどんどんと変わり、意図的に子供を持たないという選択をした夫婦も珍しくない。ただ、表面的には夫婦でその選択に合意しているように見えながらも、本音ベースでは違ったことを考えているケースもあるようだ。子供を持たない選択にまつわる、夫婦のデリケートな感情とそれぞれの事情を聞いた。
Sさん(32才女性)が子供を持つことを選ばなかった理由は、ずばり「金銭的な事情」だ。出産、産後にかかるお金、産休で減る収入、さらにその先の教育費……諸々の事情を考えると、なかなか踏み切れなかったという。
「我が家は共働きで、収入は2人合わせて手取りで30数万円程度。奨学金の返済、家賃、田舎で一人暮らしする親への仕送りなどを引くと、日々の生活はカツカツで、貯金は全くありません。3歳年上の夫と子供について話し合った時、『経済的に無理』という意見で一致しています」(Sさん)
一方で、望んでも叶わない人もいる。Fさん(34才女性)は、周囲には「説明するのが面倒でウソをついている」という。
「私たちはお互い20代後半で結婚。長男と長女で、親からは孫を期待されましたが、何度試みても望む結果は得られませんでした。親や友人から『子供は?』と聞かれるのが面倒で、ずっと『持たない方針だから』とか、『子供が好きじゃないから』などと答えていましたが、聞かれる度にすごく傷つきましたし、ウソをつく自分もイヤでした。今はそういった質問はタブーといった風潮ができつつあるので、ありがたい世の中になったなと思っています」(Fさん)