多くの国民の反発を無視して、安倍晋三・元首相の国葬が強行されようとしている。国葬の会場設営から警備、さらに国会議員や知事からの香典まで税金丸抱えなうえに地元でも県民の税金で葬儀が営まれるとあっては、国民の批判がやまないのは当然だろう。
仮に、安倍氏の葬送の方法が他の歴代首相と同じ内閣・自民党合同葬であれば、これほどの批判はなかったはずだ。
なぜ、大規模な国葬を強行しようとするのか。
岸田文雄・首相はその理由を国会の閉会中審査(9月8日)で、「国際的な弔意の表明を国としてどう受け止めるか。これが国葬儀か合同葬かの判断に大きなポイント」と説明した。
だが、弔問外交が理由なら、国葬である必要はない。
小渕恵三・元首相の合同葬には153か国、大平正芳・元首相の合同葬にも103か国から弔問団が来日したからだ。国葬の研究で知られる宮間純一・中央大学教授が指摘する。
「外交的な理由であれば国葬でなければならない理由にはなりません。内閣葬であろうと、合同葬であろうと、海外からの要人など警備をしっかりすることは可能ですし、失礼にもあたりません。
合同葬にすると予算がいくらまでといった決まりはない。強いて言えば、首相や自民党が外国に見栄を張りたいから国葬という体面を整えたいように見える。国民に納得してもらうための説得的な説明もない」