ロールスロイスからランボルギーニやフェラーリといったプレミアムブランドも高級SUVを手掛ける時代。そうした中でも、半世紀以上前から高級SUVを手掛けるレンジローバーを「SUVの最高峰」と評する人は少なくない。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は自動車ライターの佐藤篤司氏が、9年ぶりのフルモデルチェンジをしたレンジローバーに試乗。数日間、1000km以上を同車とともに過ごして感じた「2000万円の価値」をレポートする。
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英国のプライドが詰まっている
1948年に登場した「ランドローバー・シリーズI」は、道なき道でも音を上げない4WD車として、アメリカのジープとともに高い評価を得ていました。当時、このような車を必要としたのは、英国王室をはじめ、スコットランドあたりに広大な土地を所有し、そこをクルマで走り回りながら管理するような富裕層でした。
そんな人たちが「こんなクルマで気兼ねなくホテルのエントランスに乗り付けられたら」と言うシンプルな発想から生まれたのが高級SUVのパイオニア、レンジローバーでした。そして1970年に初代モデルがデビューすると、世界中から「世界最高レベルの4WD性能とシンプルなデザインのエクステリア、そして英国流仕上げの上質キャビン」という基本コンセプトが支持され、今回の新型で5代目モデルへと進化をとげました。現在は、ロイヤルワラント(英王室御用達)にも選出され、まさに英国のプライドとも言われているSUVなのです。
ところが、いま、レンジローバーであっても、安閑とはしていられないのです。ポルシェやランボルギーニ、ベントレーにあのロールスロイスなど、世界中の高級ブランドからプレミアムSUVが続々と登場し、まさに群雄割拠なのです。そんな中にあっても、そのブランド力を保っているレンジローバーの魅力とは何なのでしょうか?