新聞の折り込みチラシ
手元に置ける小型のテレビ用スピーカー「みみもとくん」(オープン価格)も売れ行き好調だ。
製造元は生活関連機器や洗車機などの自動車関連機器、情報関連機器といった幅広い製品開発を手がけるエムケー精工株式会社。製品開発担当の中島照正氏がその特徴を解説する。
「一般的にテレビの音は高音から低音までほぼ一定に出るようになっていますが、老年性難聴の方が聞き取りにくいのは3kHzを中心に2~4kHzの音域。『みみもとくん』では、この音域を補強する『音声明瞭スイッチ』を搭載することで、テレビの音をよりはっきり聞こえるようにしています。音は拡散してしまう性質がありますが、この筐体ではできるだけ広がらずに保つデザインにしています」
同社はこの分野での歴史が長く、1987年から音の研究を続けている。25年ほど前からはテレビの音の聞こえをよくする研究に力を入れてきたという。
「高齢の方には手持ちスピーカーの潜在的な需要があることに気づき、1998年に音声明瞭機能を搭載した商品を開発しました。以来、新たなモデルの開発を進め、生産が終了したシリーズなどを含めて総計30数万台の販売実績を誇っています」(中島氏)
とくに重視したのが、誰でも使うことのできるシンプルさだ。
「『みみもとくん』は音に左右差があるステレオではなく、あえて左右差がないモノラルにしています。難聴の人は聴力に左右差が生まれる場合があり、ステレオではその不安定さを助長してしまう可能性がある。送信機とスピーカーをつなぐ赤外線は、家に設置したWi-Fiの影響を受けませんし、ペースメーカーなどの医療器具には影響を与えません」(同前)
ユーキャンから販売している「みみもとくんプレミアム」(税込2万7900円)は全国紙の広告や折り込みチラシでの宣伝に注力しており、通販での購入者も増加傾向だという。
テレビの音を聞こえやすくする商品がヒットしている理由について、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏はこう分析する。
「地デジ化に向けて液晶テレビやプラズマテレビが登場した当時は、40インチが80万円や100万円もするほどの高級家電で、スピーカーも性能の高いものが搭載されていた。しかし価格が急落し、今は50インチでも10万円を切るようになった。製造段階でいいスピーカーを搭載することができなくなったんです」