日常生活に欠かせない家電の中でも、大型の洗濯機。買い替えした時の搬入や設置は容易ではなく、事前確認を怠ると、搬入できなかったり、設置できなかったりするケースもある。洗濯機の買い替えで予想外の苦労をした人のリアルケースをもとに、事前に注意しておくべきポイントを探ってみよう。
「搬入」は問題なかったが…
都内の集合住宅に住む、商社勤務の宮崎さん(仮名、40代男性)が、自身の経験を振り返る。
「15年ほど使っていた洗濯機がありました。壊れたわけではなかったのですが、糸くずを取るネットが破れたのと、洗剤を入れるトレーが外れやすくなっていたので、新しく買い換えることにしたんです」
洗濯機を購入する際、重要なのがサイズだ。搬入と設置が可能なサイズかどうかを事前に調べておく必要がある。一般的に、ドアや廊下などの幅が洗濯機本体の「寸法プラス10cm」ほどないと搬入が難しいとされている。また、洗濯機用の水栓の蛇口の高さは、「洗濯機の高さプラス10cm」が必要だという。
「購入前に玄関のドアや廊下の幅を測って、ちゃんと搬入できるサイズの縦型洗濯機を選んだつもりでした。でも、搬入より大変だったのが、古い洗濯機の搬出だったんです」(宮崎さん・以下同)
宮崎さんが現在住んでいる集合住宅は、1階にある玄関の扉を開けるとすぐに階段があり、そこを登って2階と3階が居住スペースというつくり。洗濯機置き場は2階の洗面所にある。
「古い洗濯機は縦型の乾燥機能付き洗濯機で、大きめ。前の家から引っ越して、今の家に搬入するのもひと苦労で、洗面所の扉を外してやっと入ったくらいです。そういう経験から、古い洗濯機の搬出が不安だったので、家電量販店で新しい洗濯機を買う前に、搬出・搬入の見積もりをしてもらいました」
いざ作業員が家にきて、古い洗濯機の搬出と新しい洗濯機の搬入についての見積もりをした結果、いくつか問題があることが発覚した。
「小さめの洗濯機を選んだので、搬入については問題ありませんでした。設置スペースもサイズも排水も問題なし。ただ、やはり古い洗濯機の搬出は、そのままでは難しいということになりました。まず、搬入時同様、洗面所の扉は外さないと搬出できない。
それは想定していたのですが、落とし穴は、住んでいる間に増えた家具でした。搬入した時は新しく部屋を借りたタイミングで、邪魔になるものは何もなかったのですが、今は洗面所から1階に降りる階段までの“途中”に、冷蔵庫やテーブルなどといった家具がある。飲料が入った段ボールや、衣類ラックなどもあり、すべてどかさなくてはいけません。作業員さんは、扉を外したり、家具を動かしたりはしてくれないので、それらを自分でやるのはなかなかの重労働でした」