休憩時間に自由に休息することは、労働者の権利として保障されている。例えばランチタイムの休憩時間なら、単に飲食するだけでなく、リフレッシュし、英気を養う時間でもあるだろう。法的に認められた憩いの時間だが、制服や作業着を着用する仕事に従事する人たちにとっては、“他人の目”を意識した行動をせざるを得ない側面もあるようだ。彼ら/彼女たちに、休憩時間にまつわる思わぬクレームを受けた体験談や苦労話を聞いた。
「自治体名入りの作業着なので…」
地方公務員で、技術職として働く30代男性・Aさんは、外回りする際、「基本的に外で飲食しない」という。
「外回りの時が一番、地域の方々の目を気にしないといけません。作業着には自治体名が入っているので、12時から13時という“昼休み”の時間帯であっても、飲食店で食事はしません。先日、『コンビニ前で公務員がソフトクリームを食べていたらクレームがあった』という話が話題になりましたが、私も実際、夏の暑い時に自販機でコーヒーを買って一息ついていただけで『サボっている職員がいる』という苦情が寄せられたことはあります。それ以来、休憩時間に外で飲み物を買っても、飲む場所は考えますね」(Aさん)
クレームは、電話で強い口調で言われるだけでなく、写真を撮られるなど、SNSに晒されるリスクもある。
「トイレの問題も切実です。コンビニやサービスエリアに立ち寄るのも手ですが、ここでも『体調管理ができていない』『遊んでいる』など、ネガティブに思われてしまう可能性があります。停めている車や、その人物を撮影する人もいますし、最近ではSNSにも投稿されかねない。特に外回りのときは、他人の目は常に意識しています」(Aさん)
病院内のコンビニで白衣はNGなのか
元看護師の40代女性・Bさんは、医療従事者が着用する白衣での外出は「NGだった」という。
「白衣は作業着でありユニフォームですが、細菌を院外に持ち出さないという衛生管理の意味合いがあります。私のいた病院では、白衣による外出を明確に禁止していました」(Bさん)
ただし、「院内」で白衣にまつわるクレームがあったという。
「白衣姿で院内のコンビニを利用した人に対して、『コンビニで白衣を目にしたくない。不潔だ』という苦情があり、病院側からはコンビニを利用するにしても、他のお客さんと時間をずらすように注意されました。自動販売機で買った飲料を、時間がなくてその場で立ったまま飲んでいた医師には、『マナーが悪い』『こっちは待っているのに、何サボってるんだ!』という文句が寄せられたこともあったそうです。仕事をきちんとこなすためには休息も必要で、『私たちも同じ人間なんです』と言いたいです」(Bさん)