2021年の日本人の平均寿命は、女性87.57才、男性が81.47才。コロナ禍の影響で10年ぶりに短くなったが、それでも世界トップクラスの長寿大国なのは変わらない。65才で定年を迎えても、あと20年以上は現役が続く。健康だけでなく、老後を支えるお金の心配も尽きない。
2021年の金融広報中央委員会の調査によると、世帯主が60代の世帯の平均貯蓄額は2427万円だが、これは一部の富裕層によって引き上げられている数値で、より“リアル”に近い中央値は810万円だ。
『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』の著者でリクルートワークス研究所のアナリスト、坂本貴志さんは、60才以降の年収は300万円以下が大半だと話す。
「国税庁の民間給与実態統計調査では、60代後半の平均年収は320万円で70才以上は280万円ほどですが、これは給与所得者のみ。自営業や時短労働などは含まれません。一方、リクルートワークス研究所の調査では、60代後半から70代前半の平均年収は250万円、中央値だと170万~180万円ほどです」
退職金はこの15年間で平均(35年以上勤務)700万円近く減っているとされ、公的年金の支給額も今年4月からは0.4%ほど減っている。
『定年後ずっと困らないお金の話』の著者でマネーコンサルタントの頼藤太希さんが言う。
「自分が将来受け取る予定の年金額は、毎年送られてくる『ねんきん定期便』で確認できます。受け取り年齢が近づくほど、より詳細な年金予想額がわかるほか、35才、45才、59才のタイミングで、詳細な資料が送られてきます。また、『ねんきんネット』を見ればオンラインでチェックすることもできます」