快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

16代目「クラウン」試乗レポート “トヨタブランドの頂点”はどう変わったのか

 こうして走っていて、もうひとつ感じたのはACC(オートクルーズコントロール)の良好な感覚です。レーンキープも自然な感覚でアシストしてくれる。この感覚はプレミアムと言っていいでしょう。走りの全体の印象としてスポーティなフィールをもったクロスオーバーといったところでしょう。

 クロスオーバーの走りに、概ね満足したところで435万~640万円という価格帯を考えてみました。トヨタブランドの頂点に立つモデルとして、この価格はどうなのでしょう? 決して安いクルマではないのですが、プレミアムとしての価格帯で考えると、少し低めの設定ではないでしょうか。良くできたクルマが安く買えるのだから「お買い得」と喜ぶべきかもしれないのですが、高級車が求めるのは、多分そこではないはず。「トヨタの憧れ」として追求してほしかったのは、まったく新しい素材や実験的な装備による、近未来感、先進感です。その結果として高価になるなら、ユーザーも納得してくれるはずです。

 つづいて発売になるセダンは、それなりにコンサバになるでしょうから、このクロスオーバーには、もっとチャレンジングな“新たなクラウンらしさ”を見たかったというのが正直なところです。それでも受注台数は発売開始から約1カ月で2万5000台を越えたそうです。月販基準台数は3,200台ですから、8倍に近い受注になったわけです。それだけ期待値も高かったとも言えますが、この売れ方を見ると、後に続くモデルへの興味はさらに高くなるばかりです。

【トヨタ クラウンCROSSOVER G “Advanced・Leather Package”】
ボディサイズ全長×全幅×全高:4,930×1,840×1,540mm
車重:1,790kg
最小回転半径:5.4m
駆動方式:4WD
トランスミッション:無段変速
エンジン:直列4気筒ターボ2,487cc
最高出力:137kw(186PS)/6,000rpm
最大トルク:221Nm/3,600~5,200rpm
モーター:永久磁石式同期電動機
フロント:最高出力:88kw(119.6PS)
     最大トルク:202Nm
リア  :最高出力:40kw(54.4PS)
     最大トルク:121Nm
WLTCモード燃費:22.4km/L
車両本体価格:5,700,000円~(税込み)

【プロフィール】
佐藤篤司(さとう・あつし)/自動車ライター。男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

フロントマスクは左右に一直線につながるヘッドランプを備え、印象的なデザイン

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室内の配色など、若々しさも感じさせる仕上がり。ファブリック仕様の内装も魅力的だった

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