横川氏は、「保険は貯蓄型ではなく掛け捨て型にし、貯蓄や資産運用はほかの手段で行なうほうが得策」と指摘する。
個人向け国債の3年もの、5年ものなど「固定金利」商品である債券も円安・インフレに弱い資産といえるが、資産防衛の術はあるという。
「国債でも変動金利型で10年満期の『変動10』は半年ごとに適用利率が変わり、インフレに伴って金利も上がる。元本保証でインフレに強い商品といえるでしょう。また、物価動向に合わせて元本が変わる『物価連動国債』もインフレ時に目減りしにくい強みがあります。後者は、投資信託などで購入できます」
企業の株式はどうか。前出・岡山氏は「円安がデメリットになる輸入関連企業や原材料費の上昇分を価格転嫁できない企業は、業績悪化による株価下落のリスクが高い」という。
ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏も円安に弱い株があると指摘する。
「業種で言えば、電力株とガス株。ともに円安局面で資源価格が上昇するため、業績悪化の要因になります。個別株では、家具販売大手のニトリと、ユニクロなどを展開するファーストリテイリング。両社とも海外で製造したものを輸入しており、円安は仕入れコストの上昇となります」
さらに食品関連企業も円安と原材料価格の高騰という二重苦に悩まされており、「製粉会社のニップンや、食用油大手の日清オイリオグループなども円安に弱い資産株といえる」(岡山氏)
円安・インフレに弱い資産をリスクヘッジするには「円安で業績が伸びる、輸出関連企業への投資」を強化することも選択肢となる。超円安時代には、これまでの常識では資産が守れないと肝に銘じるべきだろう。
※週刊ポスト2022年10月21日号