コロナ禍になって2年半。そろそろ遠くへ行きたい衝動を抑えきれない人も多いこの初秋、『女性セブン』の名物記者・オバ記者こと野原広子さん(65)が旅のお供に選んだのは豪華個室バス。実際に乗って感じたことをオバ記者がレポートする。
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夜に飛び去る街の明かりをバスの車窓から眺めるときの、なんとも言えない浮遊感といったら、くぅ~っ! それだけで胸がいっぱいになる。鉄道、飛行機、客船と、動くものならなんでも好きな私だけど、深夜バスは「別腹」なんだよね。バスほどちゃんと地に足つけてA地点からB地点まで移動する確かさを感じる乗り物ってほかにないもの。
が、到着までに時間がかかる。それが30代、40代は好ましかったの。しかも乗車賃は新幹線のほぼ半額。もう、たまりません! それがいつの頃からか、深夜バスから足が遠のいて……考えてみたら最後に乗ってから10年経ってたの!
そんな私に「業界初の完全個室の深夜バスがすごく人気なの、知ってます?」と、ライター仲間のK氏が言うの。
「扉付き個室ってどんな? 料金は、新幹線の自由席と同じくらい? どういうことよ」と、“安い”が深夜バスの絶対条件の私は、なかなかイメージが湧かないんだわ。
そしたら縁は異なもの味なもの。うふふ、晴れて「ドリームスリーパー号」池袋発22時50分、南海なんば高速バスターミナル着6時35分に乗ることになったわけ。
「わーい、わーい、10年ぶりだー!」
はやる心で、バスの中のひとり居酒屋用にワインと缶ビールとおつまみを買い込んで、ドリームスリーパーに乗り込む私。あ、その前に完全予約制だから、名前の確認がある。で、なんとこのバスは土足厳禁で、ステップを2段上ったところで靴を脱ぐんだわ。すると、乗務員さんがその靴をビニール袋に入れて渡してくれるの。
しかし、ドアを閉めたとたん感じたのは「狭っ!」。考え抜かれた個室って、それはわかるよ。だけどNASAの理論から着想を得たというシートにいったん座ったら身動きが取れないじゃないの。ぶつぶつ文句を言っているうちに、バスは出発進行!