一口に東京都内といっても、場所によって地価にはかなりの開きがある。そうしたなか、大きなステータスのひとつが「山手線の内側」だ。かつてマネーポストWEBでは〈山手線の内側で家賃7万円台、もっとも安い駅はここ!〉という記事で、家賃相場が最も安い駅を探したが、今回は公示地価をもとに山手線の円内で最も地価が安い場所を調査した、ライターの金子則男氏がレポートする。
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東京都はよく“狭い”と言われますが、一周すると約60分かかる山手線の内側にあたる部分は東京都全体の約3%、23区全体でも約10%しかありません。ほんの一部分でも山手線の円内に含まれるのは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、品川区、目黒区、渋谷区、豊島区、北区、荒川区の計12区。各区の一番安い場所を探してみましょう。(価格はすべて2022年1月1日現在で調査した1平方メートルあたりの公示地価。千円以下は切り捨て。商業地は除き、住宅地の価格を調べた)
・千代田区
23区で人口が一番少ない千代田区は基本的にオフィス街で、住宅地はごくわずか。最安は、大学や高校などが立ち並ぶ富士見1丁目の157万円でした。
・中央区
「中央区」という名前ですが、円内はほんのちょっとかすめているだけ。銀座も山手線の外側です。円内の部分はすべて商業地でした。
・港区
都内でも屈指のブランドタウンだけに、100万円以下の場所はゼロ。500万円を超える場所もある中、一番安かったのは白金台4丁目の104万円でした。白金といえば高級住宅地の代名詞だけに少々意外ですが、2000年に地下鉄が通るまでは、鉄道の便は今ひとつだった地域。いわゆる「プラチナ通り」のすぐそばです。
・新宿区
新宿区の中心は新宿駅周辺ですが、同駅は区の端っこにあり、一部は渋谷区です。大久保駅付近、都営新宿線の曙橋駅付近など、お手頃の地点がいくつかある中で、最も安かったのは西早稲田2丁目で69万円。早稲田大学近辺にもほぼ同レベルの場所があります。
・文京区
名前に準じて「文教」に強い文京区は、落ち着いた雰囲気が人気。“谷根千”の一角をなす千駄木付近やホテル椿山荘東京付近を押しのけ、最も安かったのは白山2丁目で67万円でした。そのあたりは小石川植物園が近く、学校も多い場所。子育てには良いゾーンです。
・台東区
台東区で円内に入るのは、寛永寺の裏手の一部分。対象箇所が少ない中で、最も安かったのは谷中6丁目で74万円でした。こちらは谷中霊園のすぐそば。日暮里駅、鶯谷駅、千駄木駅などに近い便利な場所です。