ドナルド・トランプ候補を支持するのは多数の弱者である。表面上はヒラリー候補対トランプ候補だが、実体は“金融至上主義における勝者”対“多数の敗者”である。
欧米系金融機関の生命線であるグローバル化、自由化戦略自体が悪いのではない。株式市場にたとえるならば、“大多数の弱者が投じた資金を一握りの強者が独り占めするような結果”に問題がある。敗者である多数の有権者にとって幸せをもたらさないから悪いのである。
職を失ったり、給料が減ったりしたのでは、グローバル化で少し安いものが買えるようになったからといって喜べるはずもない。彼らの望みはまず、公平な分配であり、弱者への配慮である。
ヒラリー候補が勝てば、現在の金融至上主義経済システムは維持されよう。グローバル化、自由化の流れはとりあえず維持されるだろう。現体制に不満を持つ者が多数いる以上、これまでのようにうまくいくとは限らないが、彼らが国際市場で機能する限り、我々投資家も、投資で儲けるチャンスは存在するだろう。
一方、トランプ候補が大統領になれば、グローバル化、自由化の後退は必至だろう。投資銀行業務を拡大させる上で、グローバル化、自由化の後退は非常に厳しい。そのことは、体制側の主要プレーヤーであるマスコミが、トランプ候補に対して極めて厳しく激しい批判を展開しているのを見ればよくわかる……。