モノは記憶を呼び覚ます。ならば人生の終盤ほど、捨てるより残すべきではないか。精神科医の片田珠美さんがこう話す。
「人間は年齢を重ねるごとに活動量が減り、新しい思い出を作ることが難しくなります。特に60代以降に思い出の品々をすべて捨てて部屋が殺風景になったら、“自分の人生は空っぽだったのではないか”“苦労ばかりで無駄だったのか”と思い詰めるようになりかねない。歩んだ人生の証になる思い出の品を、ある程度は残しておいてほしいと思います」
誰にでもかけがえのない思い出の品がある。そのモノが語る「物語」に耳を傾け、過ぎ去った日に思いをはせる時間も人生には必要なのだろう。
※女性セブン2022年10月20日号