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自治体だからと安易に信じるのは危険
弁護士の齋藤健博さんが解説する。
「自治体の対応は、地域によって異なりますが、厳密な契約書を交わさずに融資をするケースは確かにあります。人的ミスも多く、現場の判断だけで金銭貸借のやり取りをしていることもよくありました。ですから、“役所だからしっかりしている”と思わずに、上記のかたのように疑ってかかるのは賢い選択です」
このようなケースの場合、弁護士に相談した方がいい。
「残念ながら、税金も借金も“取りやすいところから取る”というのが実情です。弁護士などの専門家が交渉することで、相手の対応が変わることもあります。妹さんの場合は、窓口で直接交渉を重ねることで、“この人からは取りづらい”と判断された可能性があります」(齋藤さん)
ちなみに、親族が亡くなった後、市の職員や弁護士をかたって借金返済を求めてくる詐欺も多いという。上記のケースでは実際に自治体からの請求だったが、いずれにせよ、身に覚えのない借金の返済を求められ、かつ、契約書類が揃っていない場合は、相手を疑い、「払います」などと言わないこと。口約束にも法的効力はあるからだ。
【プロフィール】
齋藤健博さん/銀座さいとう法律事務所代表。主に「不倫」「浮気」「離婚」「男女問題」「セクハラ問題」を中心に、債権回収、企業法務・顧問弁護士、詐欺被害・消費者被害、犯罪・刑事事件、不動産・建築、借金・債務整理などの法律業務全般を取り扱う。 取材・文/前川亜紀
※女性セブン2022年11月3日号