厚労省が公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度末時点で、「第3号~」に該当する専業主婦の数は約800万人いる。仮に「第3号~」が廃止され、保険料徴収が始まれば、1人当たり年20万円としても、約1兆6000億円の財源になる。自転車操業の年金制度の実情を知る岸田首相にとっては、喉から手が出るほど魅力的だろう。
これまで支払っていなかったものを突然支払うことになれば、家計への影響は大きい。だが、そもそも「これまで支払っていない」という前提は疑うべきだ。
「『第3号~』の制度ができた1985年に、会社員の厚生年金保険料率は、10.6%から12.4%へと約2割も引き上げられました。これは、実質的に専業主婦の保険料と考えて差し支えない。その上、専業主婦が保険料を支払うことになれば、保険料の“二重取り”が政府主導で行われるということにほかならない」(現役の社会保険労務士)
もしそれが実現するのであれば、とうてい許されざる行為ではないか。
※女性セブン2022年11月3日号