アナログとデジタルの共存が理想
商社に勤務する30代女性・Bさんは、給与のデジタル化を推し進めるなら、「すべて現金以外で払えるようになることが前提」と語気を強める。
「そもそも家賃をはじめローン支払い、光熱費や水道代、各種税金、医療機関への支払いなど、キャッシュレス決済に完全に対応しているとはいえません。しかも、どれも生活に欠かせないものばかりです。デジタル給与を推し進めるにしても、支払いをすべてキャッシュレスできるようになってからだと思うんですが……」(Bさん)
スマホで決済することが多いというBさんだが、現金も常に持ち歩いているという。アナログとデジタルの共存が理想だという。
「正直、デジタル一辺倒は怖いです。日本のように地震や台風、火山噴火など災害が多い国だと、電源が消失すればキャッシュレス決済は使用できなるリスクがあります。いくらキャッシュレス化が進んでも、私は常に現金をいくらか持ち合わせておいた方が安心だと思ってしまいます。キャッシュレス化を否定するわけではないですけど、アナログをないがしろにせず、デジタルとうまく組み合わせていくのが理想だと思います」(Bさん)
先に乱立する決済方式を整理してほしい
IT企業に勤務する30代男性・Cさんは、デジタル給与の導入に一定の理解を示すものの、キャッシュレス化を進めるために本当に必要なものなのか、疑問に感じるという。
「デジタル給与に絶対反対というわけではありませんが、もしやるならチャージやポイント分を、現金化しやすくしてほしい。デジタルとアナログを変換しやすくしないと、現金がほしい時に困りますから。給与のうち何割はデジタルみたいに比率を選べるのであれば、やってみたいです。
ただ、やはりキャッシュレス化を進めたいなら、まずはデジタル給与ではなく、乱立した決済方式を整理して、使えるシーンを増やすことが先じゃないかと思います。確かに選択肢が豊富というのはありがたいですが、種類が多すぎて、結局は汎用性が高いものを3つくらいしか使っていないので」(Cさん)
デジタル給与が解禁されるからといって、すぐに各企業で導入されるわけではないだろうが、現段階ではまだまだ不安の声の方が多いようだ。(了)