画面越しのその表情は終始曇りがちだった。10月13日、自身のYouTubeチャンネル『じゃいちゅ~ぶ』で、競馬の5レース分の勝ち馬を当てる「WIN5」馬券で自己最高の9370万6710円馬券の的中を報告したお笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃい(50)。過去にはWIN5で3700万円、4400万円という高額馬券を的中させたことがあるものの、1億円近い最高的中額に大喜び──とはいかなかった。あらためて9000万円馬券の的中を知った当時の心境を聞くと、じゃいはこう答えた。
「その時間は番組の収録中だったので終わってから結果を見ましたが、数字を見て驚きました。でも、心の底から素直に喜べないというか……」
困惑するのには理由があった。事の始まりは昨年9月に遡る。昼頃、自宅でくつろいでいたじゃいは突然鳴ったインターホンに驚いた。モニターを覗くとスーツ姿の30代くらいの男性2人が画面に映っていた。
「税務署の職員ということでした。携帯に電話しても連絡がつかず、直接自宅に来たそうです。2人ともスーツを着てカバンを1つ持っての訪問で、応対も丁寧でしたね」
税務署員が来た理由はこうだ。現行の法律上では競馬の的中馬券は「一時所得」に分類され、年間50万円以上の払戻金があった場合は申告が必要になる。通常の競馬ファンはたくさん馬券を買うので、例えばさまざまな種類の馬券を1万円分買って、たまたまそのうちの100円分の馬券が万馬券となり1万円の払い戻しとなった場合、懐具合としてはプラスマイナスゼロだ。ところが税制上は「100円の馬券を買って1万円を当てた」とみなされ、9900円の利益として申告しなければならない。つまりハズレ馬券は「必要経費」として認められないとされているのだ。
じゃいも以前は一時所得として確定申告をしていたが、競馬番組の出演や競馬関連の書籍の執筆なども重なり、営利を目的とする継続的行為として「雑所得」で申告できるのではないかという周囲の助言もあり、そのように変更した。雑所得であれば、年間トータルの払戻金の収入から、使った総額を引いた“利益”に対してのみ税金がかかる。しかし、この点が「見解の相違」となり税務署員の訪問となった。