【やってはいけないこと】遺言書をすぐ開封する
兄弟が遠方に分かれて生活し、全員が顔を揃える機会が少ない場合、「親の葬儀」が終わった夜に遺言書を開封するのが一般的だろう。
しかし、それはトラブルの種になる。
「亡くなった親が封印された遺言書を残していた場合、開封の手続きは法律で定められています。まず家庭裁判所に検認の申し立てを行ない、裁判所から通知された日に遺言書を未開封のまま持っていき、原則、相続人全員の立ち会いの下で開封して判事の検認を受けなければならない。この検認手続きをしないと5万円以下の過料が科されます。
相続人の間で遺産分割協議がまとまった後、凍結された銀行預金を分けたり、法務局で不動産の名義変更する際にも、検認済み証明を受けた遺言書が必要です。うっかり相続人が開封してしまうとその後の手続きに困る事態になります」
【やってはいけないこと】戸籍をいち早く取る
相続の手続きには、相続人が誰なのかを証明するために故人の出生時からの戸籍が必要になる。多くの銀行に口座がある場合、銀行ごとに戸籍謄本の提出を求められる。不動産の名義変更にも必要だ。
“役場に何回も足を運ぶのは面倒だ。どうせ必要ならいっぺんに取っておこう”と葬儀が終わってほどなく戸籍を申請する人が少なくないが、それは二度手間になる。
「死亡届は死後7日以内に提出することになっているが、一般的に葬儀社が代行してくれる。葬儀の前に提出されます。しかし、死亡届の提出から戸籍に反映されるまでは1~2週間かかると見ておいたほうがいい。遠方に住んでいると、葬儀が終われば帰らなければならない。また来るのは大変だから早めに戸籍を取っておこうと役場に行っても、まだ故人の死亡が戸籍に反映されていなくて相続手続きに使えなかったという話はよく聞きます」
遠方に住む場合、親の戸籍の申請から交付まで郵送で行なう方法もある。