新幹線通勤・通学といえば、「金銭的にも時間的にも大変」なイメージがあるが、そこまで遠距離でなければ、利用している人は案外いる。通勤手当としてある程度負担してくれる会社もあり、費用面を考えなければ「ギュウギュウ詰めの満員電車に乗らなくていい」「椅子が快適」など、羨ましく見える面もあるかもしれないが、実際の利用者たちに聞くと、費用面以外のデメリットも少なくないようだ。
本数が少ないうえに終電が早い
2020年に栃木県に引っ越したHさん(40代/男性)は現在、都内まで新幹線通勤をしている。
「妻の実家が空き家になり、ずっと何とかしたいと思っていたんです。そうしたらコロナ禍で会社がリモートワークを推奨するようになり、実家への転居を決意。現在は週3~4回、新幹線で通勤していますが、会社負担に加えて自治体の補助があるので、自己負担は月1万8000円ほどで済んでいます」(Hさん)
自治体の補助はまもなく打ち切りとなるが、広い一戸建ての生活に満足しているというHさん。しかし、Hさんは「新幹線通勤のネックは交通費ばかりではない」と言う。
「私は東京育ちなので、電車の本数の少なさにはなかなか慣れません。会社の始業時間にぴったりの電車がないので、オフィスに着くのはいつも私が1番。帰宅時もちょうど良い電車がないとイライラします。タイミングが悪いと、新幹線に乗っている時間より、新幹線を待つ時間の方が長いくらいですから。
終電が早いのも新幹線通勤のデメリットです。私の場合、新幹線の終電は22時台。在来線だと23時台でも家まで帰れるので、飲んだ時はそちらを選んでしまいますが、もう少し遅くまで新幹線があれば有り難いなとは思います。
“新幹線通勤=座れるもの”という認識も大きな間違いでした。行きは座れますが、空いているのは3列シートの真ん中ぐらい。でも、そこに座るとイヤそうな顔をする人もいるんですよ。舌打ちをされたこともあります。帰りは始発駅で席はだいたい埋まっていて、座れたらラッキーという感じ。早くから並べば座れるかもしれませんが、40分ぐらいしか乗らないのに、10分も20分も電車を待つのはバカらしくて」(Hさん)
通勤列車の大混雑よりはマシだが、高いお金を払って立ちっぱなしなのはイライラしそうだ。