求められる葬儀業界のルール作り
なぜ葬儀の際の“心付け”の慣習は続いてきたのか。調べてみると、由来は諸説ある。まず、昔は“死”に関わる職に携わる人たちには、“穢れ”を祓うために酒や食べ物を渡すという習慣があり、それが金品に変わってきたという説。もう一つは、かつて身分制度があった時代に、そういった職に携わってきた人への施しの気持ちから遺族が渡してきたという説。
現代においては、背景に葬儀社の便乗もある、と赤城氏は指摘する。
「今も昔ながらの慣習に甘えている節があります。もともとは遺体を扱う火葬場のスタッフに渡すものでしたが、そのおこぼれというか、自分たちも欲しいという葬儀社もいるのが実態。1葬式あたりでは数千円と大した額ではなくても、年間で数千、数万件となれば、結構な額になります。
“心付け”を見積もりに入れる葬儀社もいますが、それは断ってOK。受け入れてもらえないようなら、その葬儀社はロクでもない会社と思っていい。金額の大小で対応が変わるのも、あってはならないことです。いずれにしても、“心付け”は葬儀業界がダークだと思われかねないものですから、業界全体で明確なルール作りをすることが急務だと思います」
どうしてもグレーな位置づけである“心付け”。古くからの慣習はなくなりつつあるとはいえ、「禁止」や「辞退」を明示されなければ、どうすべきか悩む人も多そうだが、「本来不要」ということは覚えておいてよいだろう。(了)