「推し」という言葉は、いまや当たり前のように使われるようになった。お金や時間を費やす「推し活」が盛り上がる一方で、その活動に熱中したあまり「推し疲れ」に陥ったり、最終的には燃え尽きてファンを辞めてしまうパターンもあるという。
コロナ禍の自宅で過ごす時間にK-POPアイドルにハマったというファンたちの中にも、徐々に「推し疲れ」を感じる人たちも出てきているようだ。K-POPは、定期的なライブ配信、動画コンテンツ、SNSの更新、オンラインライブ、ファンミーティング、ビデオ通話イベントなど、いわゆる「供給」が多いことで知られるが、その無数のコンテンツをチェックしているうちに疲れを感じて、徐々に“韓国沼”から距離を置くようになったという人たちに話を聞いた。
2020年の夏頃にBTSにハマり、「ARMY」(※BTSのファン)になったという大阪在住の大学生の女性・Aさん(21歳)は、今年に入ってから徐々に気持ちが冷めてしまったと話す。
「コロナ禍で自宅時間が増え、家族みんなでBTSにハマりました。韓国に行けないので、鶴橋に行ってグッズを大量に購入したり、彼らが更新するSNSをチェックしたりする日々でした。もちろんオンライン配信のライブは全て視聴して、そのために実家のリビングに大きなサイズのテレビを新調したほど。母、姉2人と私、3人でBTS沼にすっかりハマってしまい、彼らが食べている韓国ラーメンやキンパを作ったりして、生活も韓国式になっていきました」(Aさん)
しかし、今年に入ってから次第に熱が冷めてきたという。なぜなのだろうか。
「うちの家族は、それまでジャニーズとかLDHとか、特定のアイドルにハマったことがなくて、BTSで初めてハマったんです。事務所から供給されるコンテンツを全部チェックしようと頑張っていましたが、その多さにだんだん疲れてしまい……。またメンバーたちの活動休止発表、長兄であるジン君の兵役、メンバーの熱愛疑惑など色々と重なり、一気に“推し疲れ”がきてしまったんです。
とくにコロナ禍では、『いつか渡韓してバンタン(BTS)に会うんだ!』というのが目標でしたが、そうこうしている間に活動休止状態になり、もう会える機会がなくなってしまった。また、国際情勢の悪化や梨泰院の事故など、アイドルとは関係ない部分で色々と不安なことも増えてしまった。2年間、彼らにエネルギーとお金のすべてを費やしてきたけど、その精神的な皺寄せが一気にきた感じですね」(Aさん)