経済ジャーナリストの荻原博子氏が語る。
「暦年贈与の制度を利用して、子供たちの相続税負担を減らすために、毎年、非課税枠内で贈与しているケースは多い。しかし、政府はこの遡って課税される期間を死後10年などに延長しようとしています。金融機関のデータの保存期間は10年間なので、その制度一杯まで捕捉したいというのが政府側の思惑なのではないかとも思っています。そうなれば、子供たちはせっかく親から贈与してもらったのに、お金を使ったずっと後になって、相続税を請求されるケースが増えることになります」
親からすれば、老後資金を子の生活の足しにと思って贈与しても、自分が亡くなった後に相続税に困った子から「あの時にもらわなければよかった」と言われることになりかねない。“親子断絶”をもたらしかねない増税だ。
※週刊ポスト2022年12月2日号